モンテッソーリ教育をすぐにやってみたいけどどうすればいいのかわからない。
という方にむけて、モンテッソーリ教育を家庭に取り入れる方法を紹介します。
モンテッソーリ教育は今日からすぐに実践できる
モンテッソーリ教育は、園や学校などの教育施設でしかできないのではないかというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、モンテッソーリ教育の考え方は、今日からすぐにご家庭で実践することができます。
では、どのように取り入れていったらいいのでしょうか。
ここからは、ご家庭でモンテッソーリ教育の考え方を子育てに落とし込むときのポイントをお伝えします。
- 環境を整える
- 子供を観察する
- 大人がやって見せる
- 見守る
ご家庭の子育てに取り入れるときは、この四つのポイントを意識してみてください。
そうすれば、ご家庭でも、モンテッソーリ教育の子育てがすぐに実践できます。
モンテソーリ流子育て四つのポイント
① 環境を整える
子どもの「今やりたい」が叶えられるものを用意する。
モンテッソーリ教育は、「環境を通して子どもの育ちをサポート」します。
子どもにやりたい気持ちがあっても、それが叶う環境がないと、子どもはそのエネルギーを発揮することができず、不満足に終わってしまいます。
そこで、子どもの「今やりたい」が叶えられる環境を用意する必要があります。
モンテッソーリ教育というと「教具」が有名ですが、あれら教具も環境の一部です。
色々な教具はありますが、ご家庭で教具をすべて揃える必要はありません。
環境を整えるために大切なのは、子どもを観察して「今」やりたがっていることができるように、必要に応じてものを用意してあげるというサポートです。
たとえば、ティッシュを何度も引っ張る姿が見られたときに、
「ダメ!もったいないでしょ」
と取り上げてしまうのではなく、繰り返し「引っ張る」という動作を経験できるような活動を、お子さんの活動スペースに用意してあげることがポイントです。
そうすることで、子どもが「今」やりたいことを満足いくまでやることができ、結果として、獲得したい力を身に付け、満足感や自信を感じることに繋がります。
子どもの使いやすさを配慮して環境を整える
また、「もの」を揃えるという面だけでなく、子どもが自分の力で生活できる環境が整っているということも大切です。
家庭では、洗面所やトイレ、棚の高さや配置など、多くのところで私たち大人が快適に過ごせるように、大人の背丈に合わせて設計、設定されています。
そこで、まずは子どもが使う用具や遊具などを、子どもが自分で取れる位置、高さに整えてあげましょう。
また、子どもが使うものが子どもサイズであるか、子どもの手の大きさに合っているかなどの配慮も必要です。
子どもが自分一人の力でできるように、やりにくそうにしているところや、大人の手を借りないとできないことに関しては、高さや大きさ、ものの量や配置などを変更してあげることが大切です。
このように、まずは子どもの「今」やりたいことが叶うようにものを用意し、子どもが自分の力で生活できるように場を整えてあげると、家庭でもモンテッソーリ教育を実践することができるのです。
「環境」を通して間接的にサポート
適切な環境がないと、大人が子どもに教えるという一方的な構図になってしまいます。
しかし、環境を通すことで、「環境」「子ども」「大人」の三角関係がバランス良く保たれ、大人は子どもに教え込んだり、叱り続けたりせず、間接的に子どもの育ちを助けることができます。
適切な環境に子ども自らが触れて、感じ、体験することで、自分を発達させることができるように、サポートしてあげましょう。
② 子どもを観察する
「何を楽しんでいるのかな?」と子どもを見つめてみる
ただし、適切な環境を用意すれば、それでおしまいかと言ったら、決してそうではありません。
子どもの育ちをサポートする上で、「子どものことを知る」ことは欠かせません。
子どもを知らずにして、適切なサポートはできないからです。
その時に必要なのが、子どもを「観察する」ということです。
「観察」と聞くと、なんだか難しそうに感じるかもしれません。
しかし、難しく考えなくて大丈夫です。
「今この子はどんなことに興味を持っているのだろう?」
「最近楽しんでいることは何かな?」
「繰り返しやりたがることは何だろう?」
というようなまなざしで、まずはお子さんを見つめてみるだけでいいのです。
大人の願いが見えないように
そのときに注意したいことは、
「もっとこれをやってほしい」
「こうなってほしいのに」
という大人の願いを前面に出して見つめたり、
「どうせ、この子はこうだから」
と先入観を持って見つめたりしないということです。
大人の願いが大きすぎたり、先入観があったりすると、本来の子どもの姿をキャッチすることがとても難しくなります。
そして、観察すればするほど、自分の思う子ども像と、現実の子どもの姿との違いにイライラするという悪循環に陥ってしまう可能性があります。
大切なことは、子どもが何をやりたがっているのか、子どもの持つ「自ら育つ力」によって、今、子どもが何を獲得しようとしているのかを大人が感じ取り、それが叶うようにサポートしていくことです。
観察するときは、あくまでもポジティブに
「今この子にどんなサポートをしたら、育ちを助けられるかな?」
というまなざしで、お子さんを見てあげてください。
③ 大人がやって見せる
大人が動くスピードは子供にとって早すぎる
0~6歳の子どもに何かを伝えるときは、「実際にやって見せて伝える」方法がおすすめです。
この年齢の子どもは、まだ私たち大人のように抽象的に考えることができません。
そのため、実際に大人がやって見せることで、
「そうやってやればいいのか」
ということが具体的にわかり、理解しやすくなります。
やって見せるときのポイントは、いつものペースより7~8倍ゆっくりやって見せるということです。
日頃私たち大人がやっているペースで、パーッとあっという間にやって見せて、
「こうやってやるよ、やってみて」
と言っても、子どもはまるで早送りでも見ているかのような印象を受け、
「え、ちょっと待って!あれ?何からやればいい?」
となってしまいます。
あまりの速さに情報をキャッチすることができず、結局どうやれば良いのかがわからないといった状況です。
私たち大人にとっては何てことない日常の動作一つ一つが子どもにとっては、やったことのない新しい動作です。
そのため、その動作だけを切り取って、ゆっくりとやって見せる。
そうすることで、子どもは自分の中に、その動きを取り込むことができ、真似をしてアウトプットできるようになっていきます。
動作と言葉を別々に伝える
子どもに伝えやすくするポイントが、もう一つあります。
それは、動作と言葉を別々にするということです。
「ここを持って~、こうやって、ほらできた!」
と、動作と言葉を同時に伝えると、子どもは言葉に集中していいのか、動作に集中していいのかがわからなくなってしまいます。
視覚と聴覚の二つの感覚器官から入ってくる情報を、一度に整理して取り込むことは、年齢が低ければ低いほど難しいのです。
そのため、まずは
「今からやってみるから見ていてね」
などと声をかけて、ゆっくり動作だけをやって見せましょう。
その後、言葉を添えて、もう一度、ゆっくりやって見せてあげてもいいですね。
こうして、動作と言葉を別々に伝えてもらうことで、子どもはやり方を理解して、自分でやってみようと行動し、それが子どもの
「できた!」
に繋がっていきます。
④ 見守る
子どもが失敗から自ら学ぶ機会を奪わない
最後のポイント、それは「見守る」ということです。
言うのは簡単ですが、実際に手出し、口出しをしないというのは、なかなかの至難の業です。
なぜなら、私たち大人は子どもよりも経験値が高く、色々なことを知っているからです。
大人としては、目の前で子どもが間違えていたり、失敗しそうになったりしていると、
「もう言いたくて仕方がない!」
とばかりに、知っていることを子どもに教えてあげたくてウズウズすることがあると思います。
しかし、そこはぐっと我慢です!
大人の忍耐力の見せどころです!
私たち大人も、今までに数々の失敗をしてきました。
小さなこと、大きなこと、大小様々な経験を積み重ね、ここまで発達してきましたよね。
子どもの成長の上で大切なことは、
「できるように大人にやってもらうこと」
ではなく、
「子どもが自分でできるようになること」
です。
それは、間違いや失敗に関しても同じです。
だからこそ、子どもが
「間違っていることに早く気付けるように」
「失敗しないように」
と転ばぬ先の杖になって、先手を打って失敗を防ぐのではなく、子どもが自分で間違いに気づく瞬間を待つ(見守る)かかわりが必要なのです。
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