フィクションよりも先に現実に触れさせる
モンテッソーリ教育には、
「すべてにおいて本物を先に与えなさい」
という考えがあります。
子どもが小さい時期に原体験を積ませ、本物を与えることは、言語能力や感覚能力を育てるためにもとても大切なことです。
まず現実の世界を知ってからフィクションを取り入れるようにしなければ、子どもは混乱してしまいます。
映画やテレビなどでは、実際の街並にフィクションが入っていることがよくあります。
たとえば映画などでは、実際に自分たちが住んでいる街にヒーローが登場したりします。
本物の現実世界をよく知らない子どもにとっては、それが現実なのかフィクションなのか区別がつきません。
ですから、
「現実=自分たちの住んでいる世界」
を理解することが先のほうがよいのです。
よくある質問で
「子どものテレビはどのくらい見せていいんですか?」
という質問があります。その質問に対して、
「まったく見ないというのも難しいと思うので、30分~1時間など時間を区切って見せてはいかがですか?」
という回答があります。
ただ、もしかしたら、テレビが1日中ついているご家庭もあるかもしれません。
もし、常にテレビ映像が流れている状況なら要注意です。
テレビをつけっぱなしにするのは、ずっと見ているのとほぼ同じことになってしまうからです。
現在、親世代の人たちは、テレビやゲーム、パソコンなどの電子機器は、なくても生活できました。
でも、現代の子どもたちは、それらと共存していかなければいけません。
ですから、少なくとも食事中にはテレビをつけないようにしたいですね。
子どもの興味が食事中に流れているテレビに向かっているときに、
「食べなさい。食べなさい」
と言っても、食べないのは当然のこと。
食べることを楽しむひとときが食事の時間です。
家族と一緒に会話しながらご飯を食べるというのは、幼いうちでしかできないこと。
せっかくですから、食事中はテレビを消して、家族団らんの時間にしませんか。
どんどん外遊びをさせましょう
子どもは、どんどん外遊びさせましょう。
先ほど話したようにモンテッソーリ教育は「本物」に触れさせることを大切にしています。
本物とは、ファンタジーの世界ではなく、現実に存在する物のことを指します。
本物は自然の中にたくさんあります。
公園に行くことももちろんそうですし、風の音、鳥のさえずり、葉っぱの色や形、土のにおいなど、日本の四季を感じられるのも外遊びならではです。
子どもは虫などの小動物も大好きです。
ダンゴムシやアリ、カエル、ミミズなどに触れることも大切な本物体験です。
外遊びで、本物の自然に触れる機会をたくさん持ちましょう。
大きな運動もして、小さな運動もする。
子どもの身体の成長に一番いいバランスのとり方です。
子どもには、できる範囲で自然に触れる外遊びをするのをおすすめします。
水遊び、泥遊びは子どもに大切なものがいっぱい
水遊びと泥遊びは、子どもが健やかに育つための重要な通過点です。
なぜなら、水遊び、泥遊びは子ども自身が自由にコントロールできるものだからです。
子どもは想像力を働かせて水遊びや泥遊びをします。
ですから、泥や粘土などを身体や手で感じ、頭を使ってクリエイティブに遊ぶのはとてもいいことです。
子どもたちは、砂場でよく砂に水を加えてドロドロにします。
その遊びには、重たさ、冷たさなどの温度、力の加減で泥の形が変わるといった感覚がすべて詰まっています。
そういった積み重ねによって、脳が育まれていくのではないでしょうか。
砂場は、何人かで遊ぶことが多いので、社会性も身につきます。
ある子が一生懸命に砂でトンネルを作っているとき、
「ようやくできたな」
と思った瞬間に、小さな子が足を入れて壊してしまったり、違う子が水をかけて崩してしまったり…
といった体験を通して社会性が育つのです。
中には、ドロドロの感覚を嫌がる子もいるでしょう。
でも、子どものときはむしろドロドロの感覚を経験したほうがいいのです。
手について汚いからといってすぐ洗い流すのではなくて、汚くても遊ぶ。
ドロドロだけど、楽しいから遊ぶことで、学べることがいっぱいあります。
このように、いろいろな感覚を通していろいろな経験をすることは、小さな時期には本当に大切にしたいものです。
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